2010年  白山(8月5日〜6日)

白山は我が県には馴染みが深く、加賀地方に住む人なら毎日でも目にする山。
人気も高く、子ども会・学校・町内会など、老若男女多くの人が登る。

白山に登るなら家族でと、以前から漠然と考えていたが、今年実行することに。
娘・息子・おとーさんの了解も取れた。室堂の予約も取れた、休みも取った。
子ども達も高校生で一番体力のある時期、我々もまだ大丈夫。
我が家にとって一番いい時期  ・・・・のはずだった・・・・

<1日目>

7:45  自宅 出発
快晴! 今から登るから待ってろよ、白山!
しかし本日予想気温は35度! 熱中症に気をつけなければ。

ここで「チョコを食べてエネルギー補給!」と言う輩のためにコンビニへ。
これが後に影響するとは誰も・・・・


9:15  市ノ瀬ビジターセンター 着
ここで車を置き
9:25、バスに乗る。この便の次はかなり待つことになるので、ラッキー。
(ちなみにピーク期間はマイカー規制により、シャトルバスが増発される。)

10:00  別当出合 着。登山開始(1回目)
一般的なルート「砂防新道」はこんな吊橋
から始まる。僅かな揺れがスリリング。
娘曰く「全行程で一番怖い場所。」
ちなみに私はこんな場所は大好きだ。

吊橋を渡ったところで青ざめる輩が・・・。
「車酔いした・・・。」 なぬーーーっ!!
原因 : 車中でチョコを一箱たいらげた。
     車中でヒマ潰しにDSを見てた。
     車中で居眠りした。

登山目前にして息子まさかのダウン。
早くも「断念?」の文字が頭をよぎる。
ともかく回復を待つ。ちなみに娘もチョコをたいらげていたが、平気だ。

10:40  別当出合発。登山開始(2回目)
顔色が回復したので、仕切り直し。ちなみに下山バス最終は15:30。
「何かあったら引き返せるタイムリミット」を念頭に置きつつ。

白山の大変さは、殆どふもとから登山が始まる点だ。
別当出合の標高は1,250m
白山室堂の標高は2,450m   標高差1,200m、距離6km
その半分は樹林帯で南斜面とくれば、暑いに決まっている。
一昨年の唐松岳、昨年の西穂高岳ならロープウェイでショートカットする部分を
自力で登るというわけだ。負担度は格段に違う。

こんな急勾配のガラガラ道が続く。暑い。風がない。
「所要時間4時間半」?「小学生でも日帰りする山」? 
ガイドブックの言葉って、ウソだあーーー!


11:40  中飯場 着
息子、二度目のダウンで休憩30分。
今下山してもまだバスに間に合う。判断に迷う。

「あと少しで楽な道になるから頑張って〜」と声をかけてくれた方・・・・。
好意はありがたいが、山で甘い見通しを言ってはいけない。
だって更に厳しい道が続いたのだから。
ともかく息子回復のきざしが見えたので進むことに・・・。


  どこまでも続く森の登りにはさすがに閉口。
  さらに今度はおとーさん不調! 暑さにやられた?


  14:30  甚之助避難小屋 着
  ようやく中間地点か。 大丈夫か、おとーさん?
  「撤退する勇気」の言葉が頭をよぎる。

  資材運搬のヘリコプターが飛んでくる。あー、飛んで行けるのならいいのに。

  結局、先の分岐点から登りの緩い「エコーライン」ルートで行くことにする。
  途中、「白山自然保護」の腕章を付けた方(山ガイド?)に先のコースを尋ねると、
  「ここまで何時間かかりました? 室堂まで行くの? 夜までに着けるかな・・・。
   まあ、遭難はしないでしょうが・・・(冷笑?)。 寒くはありますよ。」
  ・・・ズバリ言われれば、それはそれで面白くないんだよなあ。

15:30  分岐点 着
ようやく樹林帯を抜けて展望のきくところに出た。
眼下に登ってきた道が見えて、少しは自信を取り戻す。
そろそろ日暮れまでの時間が気になる。

←ここに見えるのは最初の吊橋か?

分岐点からエコーラインへの道は快適。風も涼しくなってくる。
南竜ケ馬場の山小屋やケビンが見えている。
すっかり回復した息子が先頭をスタスタ行く。続いて娘。
呼べばちゃんと待っているのは良し。


が、緩いとはいえエコーラインの登りもそれなりで。
遠回りだから長い・遠い。

再びおとーさん、ピンチ! 膝が痛んできた。



16:30
登りつめれば弥陀ヶ原。頂上と、室堂の屋根が彼方に。
ここは白山が誇るお花畑だが、花を見る余裕もない。
遅れる連絡を入れたくても、携帯が圏外になってる。
数mごとに休むおとーさん。

「遭難」「救助要請」の文字が頭をよぎる。
引き返すタイミングはいくつもあったのに、見込みが甘かった?
スケジュールが甘かった? ハプニングが多すぎた?
少しずつ判断ミスを重ねてきたのでは?
遭難って、当人はきっとそんな自覚なく遭難するんだ・・・。


それでも、弥陀ヶ原の緩やかな道で少しペースを取り戻し
室堂直下の急坂は青息吐息で登り切って・・・・
17:30 白山室堂 到着  ふうーっ。

     ↑
室堂はこのあたり

写真撮る間もなく、慌ててチェックイン。本日の最終到着らしい。
そのおかげで、空けてあったグループ向け4人部屋に入れてくれた。
これはラッキー。気兼ねなくくつろげてありがたい。

17:40 夕食
ここで最後のドンデン返しが!
元気だったはずの娘が「頭が痛い・・・」。食べずに部屋に戻った。
なんか、みんな一回以上はリタイア券を使ってるなあー。
こんなところで倒れたら帰れないぞ。
・・・と心配しつつも、一人ビールで祝杯をあげる私。



室堂の北側に白山主峰の御前峰。
標高2,702m
登山道の前に白山奥宮の社務所。


幸い娘の頭痛は短時間で治ったので、
一緒に夕日を見に出る。
雲海と空の境目に広がる赤い夕焼け。
町の灯は福井の大野・勝山あたりか。
合掌したくなるような、ありがたい風景。
来た甲斐があったと、やっと思えた。

部屋で消灯の準備をしつつ、暗くなった窓の外を見たら・・・・「何、あの明かり?」
あまりに強く光ってるので外灯かと思ったら、星だった。
4人で広場に出る。雲ひとつなく、頭の上全部が星空。すごい!というか、凄まじい。
北斗七星、サソリ座がくっきり。アンタレスが赤い。天の川が霞か雲のようにもやーっと流れる。
よく、プラネタリウムを見ると、こんな星空って有り得ないって思うが、とんでもない。
この星空はプラネタリウム以上。こっちこそ有り得ないほどの光景・・・。
20:30に一斉に消灯したら、ますます鮮明になった。
星を楽しみに来てる人もいて、いくつか教えてくれた。人工衛星や、流れ星の見つけ方も。
流れ星、見えた! 
「これでも南の方は名古屋あたりが明るくてよく見えない。」 のだそうだが、充分満足。
あの星空は忘れないだろう。娘も息子もおとーさんも、みんなで見られてよかった。


それにしても濃い一日だった・・・。
7時間の山歩き(休憩含む)は疲れた。身体よりも気疲れ・・・心配性なので。
明日の御来光はどうしようかと思いつつ、21:00就寝

 

リンク:白山ベストガイド