本やネットで調べて、必要かつ最小限の装備を考えた。
ザック・軍手・タオル・ハンカチ・着替え・下着・長袖シャツ・防寒用ジャンパー・帽子
双眼鏡・懐中電灯・雨具・テイッシュ・トイレットペーパー・文庫本・
コーヒーセット・ペットボトル2本・缶・非常食(クラッカー・塩飴・ブドウ糖飴・ガム等)
ウエストポーチ・携帯電話・日焼け止め・登山計画書・運転免許書・ウエットテッシュ
各種薬・絆創膏・ゴミ袋・ゼリー・バナナ
総重量6.5kg。
雨に濡れたら使えなくなるものは全てビニール袋に包んでおく。
旅行計画書も綿密に、手抜かりなく。
単独だから全て自己責任。無理なく、危険なく、無事に帰るために。
もちろん天候もチェック。数日前から毎日天気図を見る。
8日が高気圧が停滞しそうだったので、決行を決めた。
前夜はなかなか眠れず。睡眠不足。大丈夫か?自分・・・
早朝2:30にダンナを叩き起こして(ごめんよお・・・)
金沢駅に送ってもらう。3:47の急行きたぐにで糸魚川へ。
眠いのでザックを枕に寝ていたら、バナナがつぶれてしまったらしい。
リュックから香るバナナの匂いを嗅いだのは、小学生以来かも。
糸魚川駅に着いた。
レトロな車庫が見える。きかんしゃトーマス好きの子供にウケそう。
ここから大糸線に乗り換える。手前の青い電車。
1両編成のワンマン電車がかわいい。
7:47 白馬駅 到着
快晴! 雲ひとつなく、白馬連山が迫る。こんなに晴れてるなんてラッキーだ!
唐松岳山頂山荘へ電話で予約を入れると、
「うちは予約なしで泊まれますからどうぞ」とのこと。
飛び込みOKなのね。(全ての山小屋がそうとは限らないらしいが)
路線バスで八方へ。ゴンドラ乗り場で登山計画書を提出。
ここからゴンドラ〜リフト2本を乗り継いで八方池山荘まで。
白馬三山がどんどん迫ってくる。(左から白馬鑓ケ岳・杓子岳・白馬岳)
何度か白馬に来たことはあったが、これほど晴れてるのも珍しい。
・・・が、あっと言う間にガスがかかってきた。山の天気は変わりやすい。
見たかった不帰の嶮(かえらずのけん)も雲の中。あーあ。
9:15 八方池山荘 到着
リフトの終点。ここから登り始める。
歩幅40cm、テンポは四分音符=45
頭の中のBGMは『ビヨスカ』のアレグロ。(テンポ45のアレグロって・・・)
ゆっくりペースを死守。鼓動に合わせるようにして、呼吸するように歩く。
それでも暑い暑い。汗が噴き出す。
10:10 八方池 到着。
ここまでは観光コース。大勢で賑わっていたが、ガイド本に載ってるような
写真の風景を見られる日は、そう多くはないと思う。
この日も展望的にはイマイチ。それでも風は涼しくなってきた。
ここで20分の休憩。
思わずタンクトップ1枚になって濡れたTシャツを乾かす。お、せくしー。
つぶれたバナナもそれなりに美味い。
10:30 八方池 出発
ここから先は登山者だけ。途端に人影がまばらになる。
いよいよ本番。
ダケカンバの林やガラガラ道を抜けていくのが楽しい。
決して危険な道ではないが、転べば何mも滑落しそうな場所は
そこかしこ。どこでも事故は起こり得る。
歩幅40cm、テンポ四分音符=45を死守。
決して息が上がらないように、慎重に歩く。
11:35 雪渓に到着
←雪じゃ雪じゃ。
ここで昼食にする。ゴンドラ乗り場前で買ったおにぎり弁当がうまい!
(写真上の中央) 今回の山行きの目的のひとつ。
「山でおいしいコーヒーを沸かして飲むこと」
その秘密兵器がこれ。
手前のフォルダに薬品パックと水を注ぐだけで、缶の水が温められるというシロモノ。
さっそくセット。すぐシュワシュワと音をたてて発熱が始まる。
沸騰・・・とまではいかないが、缶は素手では持てないほど温まった。
この日のために買った『モンカフェ』のブルマンを煎れる。ん〜まい!満足。
12:15 雪渓 出発
ひたすら登る。
ダケカンバの林を過ぎて稜線に出る。山頂はあそこ?
まだまだ先が長いが、ようやくゴールを視野に捉えた。足も大丈夫。よし、行ける!
12:45 丸山ケルン 到着 (休憩)
12:55 丸山ケルン 出発
山肌に沿うような岩場の道が続く。ハシゴや鎖場も少々。
足場は悪くはないが、何せ崖っぷち。
落ちたら命はないと思うと、少しは緊張する。
降りてきたお姉さんに「あとどれくらいですか?」と尋ねたら
「10分くらい」との答えだったが、もっとかかった気がするぞ。
14:10 唐松岳頂上山荘 到着
やった。到着。本日泊まりの山小屋。
唐松岳の直下20分の場所。後ろにどっしりと構える黒い山は
五竜岳。
宿泊の手続きをして部屋(寝床)に荷物を置く。
本日の山頂アタックは止めて、山荘裏の展望台へと足を運ぶ。
夕食まで時間があるので、山荘名物生ビールを1杯。
(これも今回の目的のひとつ)
中ジョッキ850円だって高いと思わなかった。
山荘前でいい気分になってると、後から登ってきたおじさんが
「ねーさん、美味そうやな!」と声をかけていく。
うん、最高!
山小屋は賑わってた。見回すと確かに中高年が多い。
というか、50代・60代が主流。女性グループも多い。
私のような単独登山者も珍しくないようだ。
それぞれが目的を持って来ているので、互いにあまり構いもせず。
気ままに過ごす時間の、なんて気持ちのいいことか。
酔いも手伝って、夕食までの小1時間昼寝。
爆睡!
16:50 夕食
温かいごはんと味噌汁がうれしい。
ここの食事は約50分毎に3、4回転してるらしい。大繁盛?
少し雲が下がって展望が開けてきた。文字通り360度のパノラマ。絶景かな。 (上の連続写真はほぼ320度くらい)
18:30頃 日没 そろそろTシャツでは涼しくなってきた。長袖シャツを着て再び展望台へ。
雲海が広がる。どんどん色が変わる。太陽は唐松岳の向こうに落ちていく。
そう、こんな風景を見たかったんだ・・・。言葉もない。
19:20頃 就寝
山小屋ってどんなの? という方のためにイラストを描いてみた。
幅の広い2段ベッドが廊下の両側にずらーっと並んでいて、一段に
6人づつ並んで寝る。蚕の棚かウナギの寝床って感じ。
(イラストには描いてないが、もちろん布団と枕はある。)
一応グループや男女には配慮してあるようだった。
早朝に発つ人もいるので、みんな早々と布団に包まる。
が・・・寝付けない。声や鼾や物音が気になってしまう。
昼寝ではあんなに熟睡したのに・・・。
向かいのベッドのおじさん達が低い声で、山の武勇伝や事故の顛末を
話している。どこでもマニアはいるものだなあ。
山の話を寝物語にウトウトと一日目が終わる。